シドニーオリンピック男子サッカー、本大会予選リーグを突破いたしました。
メディアで報道されているように、釜本が活躍したメキシコ五輪以来32年振りだそうです。
2勝1敗と云う成績は前回と同様で、普通は当たり前に通過できる数字。
しかし、今回のこの成績で予選突破できたのはスロバキアのおかげ。
運がよかった。それだけです。

前回アトランタの五輪代表は一部の選手は確かにレベルが高かったのですが、その他の選手はそうでもなかったようです。
そして、オーバーエイジを加えたシドニー五輪代表もやはり同様の傾向が見え隠れしている様に思います。
トップレベルの選手の方が人数が増えた為、余り気にはなりませんが試合になるとやはり粗が出てしまいがちです。
おそらく技術的な面では代表クラスの選手は皆一流だと思うのですが、精神面で強くない選手が入っている為、 攻守のバランス、攻撃時の左右のバランス、決定力に少なからず問題が生じます。
FWのY選手などその典型で、サッカー関係者から上手い上手いと云われてはいますが、大舞台での活躍がありません。
またブラジル戦では左サイドからの攻めは何度も見られたのですが、右からの上がりはほとんど見られませんでした。
右のMF、S選手が中盤から前に攻め込むだけの余裕がなく、ほとんど守りに入っていた事に起因していると思われます。

上手さと強さは決定的に違います。先ほどのFWの選手は「上手い」が「弱い」。逆にジュビロ磐田のFWのN選手は「下手」ですが「強い」。
技術的な面を精神的な部分でカバーしてゴールを奪い取っています。
精神力が強い=勝負強いとは言い切れませんが、かなり大きく関係があります。
運動選手にとって練習は技術を身に付ける為に大切な事ですが、技術的な向上で身につけた自信は戦って身に付けた自信には遠く及びません。
選手の強さに繋がる自信はもちろん後者のもので、これは思いっきりプレッシャーのかかった試合をこなすか、自分よりも格段にレベルの高い相手と戦って自分の今いる位置を把握することで得られるものです。
どちらも場合によっては逆に自信を失ってしまいそうになりますが、そこを耐えた時に得られる物もまた自信です。
サッカー観戦歴が余り長くない私が云うのもなんですが、あんなに弱そうなブラジル代表を見たのははじめてです。
彼等代表は確かに個々の選手達は技術屋と言えるかも知れないが自信が足りなかった様に思います。
これなら今の連勝中の日本代表なら勝てると思いましたが、しかし腐っても鯛。今一歩及ばず破れてしまいました。
ただ、それでも収穫はあったはずです。少なくとも試合前は両代表とも本気で勝ちにきていたわけですから、選手達は練習なんかでは得られない経験を数多く得たはずです。

サッカーの代表レベルの試合で云えば、「本番」と云うのはすなわちワールドカップのこと。
丁度今の日本代表は若手が多く、この五輪代表の選手達も数多く「本番」の大会に呼ばれる事でしょう。
その時の為に、この大会で一試合でも多くプレッシャーのかかった試合を経験して頂きたい。
勝てば人の記憶に残る。
それで海外に出ていく選手が増えれば日本のさらなるレベルアップにもつながります。
2002年のワールドカップでぜひ日本が勝つところを見せて頂きたい。
そして、運ではなく実力で決勝トーナメントを勝ち上がっていってもらいたいものです。